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画像コラム・画検新聞

AIとはどのような技術か?

AIとは?

AIは、人間と同じように考える機械、あるいは、人間が知的と感じる情報処理やそれを実現する技術全般として広く認知されています。
AIとはArtificial Intelligenceの略語であり、日本語での人工知能を意味する語となります。近年の深層学習技術の発展に伴い、AI(人工知能)、機械学習、深層学習という技術への注目度が高まるようになりました。

AI(人工知能)、機械学習、深層学習の関係性

AI(人工知能)、機械学習、深層学習の関係性は図1のようになります。
機械学習はMachine Learning, ML、深層学習はDeep Learning, DLと表されることもあります。


【図1】 人工知能、機械学習、深層学習の関係性 文献2を参考に作成

AI(人工知能)は、広い概念として、人間と同じように考える機械を指す場合と、より具体的な情報処理方法や特定の技術を指す場合があります。

機械学習は、AIのうち、人間の「学習」に相当する仕組みをコンピューターなどにより実現する技術を指します。学習は、あらかじめ用意した学習用のデータから判断基準となるパターンやルールを事前に獲得しておき、その判断基準を新たなデータへ当てはめることにより識別や予測を可能とする手法を意味します。

機械学習は、正常品/欠陥品や製品A/製品B/製品Cと分ける分類問題と、温度センサーや工場の生産量などの過去の傾向から次の値を予測する回帰問題に分けられます。
また、機械学習の手法には、学習用データに正常品/欠陥品あるいは製品A/製品B/製品Cといった正解となるラベルが事前に付与されている必要がある教師あり学習と、正解となるラベルを必要とせずデータの特徴だけから学習を行う教師なし学習があります。教師あり学習の手法としては、K近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワークなどがあります。教師なし学習の手法としては、主成分分析、クラスタリング、自己組織化マップなどがあります。

深層学習は、機械学習のうち、多数の層からなるニューラルネットワークを用いる技術を指します。機械学習では、判断基準となるパターンやルールの獲得へと至る過程で必要な、特徴量と呼ばれる「何に注目すべきか」という数量の算出方法を、判断対象となるデータへの専門知識を有する人間が事前に設計しておく必要がありました。深層学習では、この注目すべき特徴量をコンピューターが自ら抽出可能であり、この点がこれまでのAI技術の発展において深層学習が革新的な技術であると位置付けられる理由となります。

AIの発展の歴史

AI技術は、「ブーム」と「冬の時代」と呼ばれる停滞期を繰り返して発展してきました。現在の機械学習・深層学習への関心の高まりは、「第三次人工知能ブーム」と位置付けられています。

第一次人工知能ブーム(探索と推論)

第一次人工知能ブームは、1950年代後半から1960年代であり、探索と推論の時代と呼ばれています。迷路を解く、ボードゲームで勝ち筋を見つける、といったルールが明確に定義された問題は上手く扱うことができました。しかしながら、現実の問題はより複雑で取り扱うことができず、解決策の提示は困難でした。そのため、この時代のAI技術はトイ・プロブレム(おもちゃの問題)しか解けないという見解が広まり、1970年頃から人工知能ブームは冬の時代を迎えました。

探索木で問題を解く
スタートとゴールが与えられた迷路を解く、ハノイの塔を解く、ロボットの行動計画を作成する(プランニング)...、第一次人工知能ブームではこのような問題を扱う手法が発展しました。これらの問題は、探索木を用いることで解くことができます。
探索木とは、一言でいえば場合分けを意味します。迷路の問題であれば、スタートから右に行くか、下に行くか、左に行くか、上に行くか。一歩進んだら再び未踏破の方向を探索します。繰り返し探索を進めていけば、いずれはゴールにたどり着くことができます。

探索木で問題を解く
【図2】 場合分けの問題を探索木として表現する例 文献3を参考に作成

対戦型のゲームで勝ち筋を見つける
上に挙げた問題は、設定されたルール・環境の下で、自分の行動を考えるものでしたが、自分以外に相手がいる問題の解法も研究されました。〇×ゲーム、五目並べ、リバーシ、チェス、将棋、囲碁などです。

これらの問題では、対戦相手の行動により次の自分の局面が変化するので、次の自分の局面、次の次の自分の局面、...、の組み合わせは膨大になります。このような対戦型の問題に対する基本戦略として、ミニマックス法という手法が確立しました。この手法では、自分の手番では自分の最善手を選び、相手の手番では相手の最善手を選ぶと仮定します。これにより、次の自分の手番で探索すべき局面を推測します。この探索を進めることで、次の手番、次の次の手番で考慮すべき局面を予想し、順次評価することができます。

画像処理における探索木の考え方
画像処理においても、探索木の考え方は基本となります。画像処理では、注目画素とその周囲の画素(8近傍) に着目して処理を行うことが一般的です(図3)。例えば輪郭検出やラベリングの処理では、白黒の2値画像を入力して適切に場合分けを行うことにより、対象領域の抽出を行います(図4)。

画像処理における探索の考え方
【図3】 画像処理における探索の考え方

輪郭検出とラベリング処理の例
【図4】 輪郭検出とラベリング処理の例

また、そのようにして抽出した対象領域から面積や幅、平均輝度値を計算して対象物の特徴量を定め、これを用いて対象を分類するという決定木の手法も基本的な考え方となっています。

特徴量に基づき分類する例
【図5】 特徴量に基づき分類する例 文献4を参考に作成

第二次人工知能ブーム(知識表現)

第二次人工知能ブームは、1980年代から1990年代前半であり、知識表現の時代と呼ばれています。「ある場面でどう判断するか」という判断基準を、事前に知識として与えます。

例えば、病気に関する沢山の知識を与えておけば医者として、法律に関する沢山の知識を与えておけば弁護士として、病気の診断や判例に従った法律の解釈を提示できるシステムの実現が目指されました。ある分野の知識を取り込み、その分野のエキスパート(専門家)のように振る舞うため、エキスパートシステムと呼ばれています。感染症を診断して適切な抗生物質を提示するMYCIN(マイシン)や、住宅ローンの審査をするエキスパートシステムが開発されました。

エキスパートシステムは上手く機能する対象もありましたが、いくつか課題があることも分かってきました。エキスパートシステムを構築する場合、その分野の専門家にヒアリングして知識を集める必要があります。この情報の収集には多くのコストが必要です。さらに知識が増えて大規模になると、場合分けの数が数千、数万となり、お互いに矛盾する記述や一貫性のない表現が生じる恐れがありました。

また、特定の分野から一歩進めて、より汎用的に知識を扱おうとすると、知識の記述が困難であるという問題に直面しました。例えば、「目の奥がズキズキする」という症例があった場合、目とは何か、目の奥とはどこかという人間にとっての常識を、関連知識として事前に必要としました。また、ズキズキとはどのような状態か、ヒリヒリやドクドクとはどう違うのか、こちらも事前に定義しておく必要がありました。こうして知識をどのように表現すればコンピューターが扱いやすい形になるのか、知識表現の研究が進められるようになりました。

事前に知識を与えておくというアプローチは、専門知識を扱う限定された分野では有用性が認められつつも、より汎用的な知識となると膨大で、体系立てて記述することが困難であることがわかりました。やがて第二次人工知能ブームも下火となり、 1995年頃から再び冬の時代を迎えました。

近年の動向

第一次人工知能ブーム、第二次人工知能ブームで得られた成果は、その後の研究開発にも活かされています。探索と推論の考え方は、より複雑な手法の基本となる処理として組み込まれており、知識表現の技術は、ネットワークを介したサービスとして発展しています。

例えばHPなどで利用されているチャットボットが挙げられます。想定される問い合わせ内容と解決策を事前に設定しておくことで、ユーザーからの問い合わせ内容の種別を自動で判断し応答する、エキスパートシステムの技術を応用したサービスとなっています。

参考文献

[1] 総務省 平成28年度版 情報通信白書
[2] 総務省 令和元年版 情報通信白書
[3] 松尾豊 「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」KADOKAWA/中経出版 2015
[4] 田村・斎藤(編著) 「コンピュータ画像処理」改訂2版 オーム社 2022

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