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画像コラム・画検新聞

画像フィルタ~より容易な欠陥検出のために
(後編)

画像処理検査において、撮像した画像内に含まれる雑音を除去したり、特徴を抽出したりすることで、欠陥検出をより円滑に行うための基本処理を画像フィルタと呼びます。
画像フィルタには「空間フィルタリング」と「周波数フィルタリング」の2種類があり、ここでは「周波数フィルタリング」についてご紹介します。

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空間周波数とは

音声信号のような時間的に変化する信号は、1 秒間あたりに変化する波の数を「周波数」と表します。画像では、位置によって(空間的に)明るさ(信号)が変化しています。このような空間的に変化する信号の周波数を「空間周波数」といいます。

フーリエ変換を利用した濃淡変換(周波数フィルタリング)

以上のように考えた時、画像は周波数の組み合わせで構成されているといえるでしょう。信号処理などの分野では、信号にどのような周波数が含まれるのか解析する目的で、フーリエ変換が用いられます。

画像処理においても同様にフーリエ変換を用いた解析を行うことで、画像を周波数領域の関数で表現することができます。すなわち、どのような周波数の波が画像に含まれているのかを解析することができるのです。
画像を2 次元空間の関数f(x, y) として表すとき、フーリエ変換F(u, v) は以下のように定義されます。

* j=√ -1 であり、u, v はそれぞれx 方向、y 方向の空間周波数となります。
* デジタル画像を変換する場合、実用的には計算を高速化するために高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform : FFT)が用いられます。

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画像をフーリエ変換した後、特定の周波数成分の大きさを変えることによって、画像の性質を変化させることができます。このような処理を「周波数フィルタリング」といい、以下のようなものがあります。

低域透過フィルタ(ローパスフィルタ)

画像に含まれる空間周波数成分のうち、周波数の低い成分を残し、周波数の高い成分を除去するようなフィルタを「低域透過フィルタ( ローパスフィルタ)」といいます。右の低域透過フィルタの適用例では、明るさの急激な変化がある部分は変化がなだらかになっているのが観察できます。

高域強調フィルタ

画像に含まれる空間周波数成分のうち、周波数の高い部分を強調するようなフィルタを「高域透過フィルタ」といいます。右の高域透過フィルタの適用例では、明るさの急激な変化がある部分が、より鮮明になっていることが観察できます。

高域透過フィルタ( ハイパスフィルタ)

画像に含まれる空間周波数成分のうち、周波数の高い成分を残し、周波数の低い成分を除去するようなフィルタを「高域透過フィルタ(ハイパスフィルタ)」といいます。明るさの急激な変化のある部分(エッジ)が抽出されていることが観察できます。

帯域透過フィルタ( バンドパスフィルタ)

画像に含まれる空間周波数のうち、ある中間的な周波数の範囲のみを通すフィルタをバンドパスフィルタ(帯域透過フィルタ)といいます。バンドパスフィルタは、画像中のコントラストが低い部分(しみやむらなど)を検出するために応用できます。

上の元画像には、照明ムラ、大きなしみ、小さなしみ、梨地テクスチャという、それぞれ空間周波数の異なる要素が含まれます。この特定の周波数を取り出すことによって、注目すべき特徴のみを抽出したり、雑音となる特徴を除去したりすることができるのです。

空間フィルタと周波数フィルタの関係

ここまで見てきた周波数フィルタの効果について、低域透過フィルタは空間フィルタにおけるぼかしの効果に似ています。また、高域強調フィルタの効果は、空間フィルタにおける先鋭化フィルタの効果に似ています。
これは、空間フィルタリングのうち、線形フィルタは周波数フィルタリングと数学的に等価であるためです。すなわち、空間フィルタリング(線形フィルタ)は周波数フィルタリングで表現することができるのです。
空間フィルタリングと周波数フィルタリングの効果が同じならば、どちらの手法を用いて濃淡変化を行うかは、計算コストによって決定されます。一般的に、空間フィルタの計算量はフィルタサイズの2 乗に比例するため、空間フィルタのフィルタサイズが小さい時には空間フィルタリングが有利であり、フィルタサイズが大きくなるに従って周波数フィルタリングのほうが有利になります。

帯域透過フィルタの空間フィルタでの表現

上の性質を用いて、周波数フィルタリングである帯域透過フィルタを、空間フィルタで代用することができます。
次のような処理を行います。

a. 小さいフィルタサイズの平均化フィルタを画像に適用し、高周波成分を除去する。
b. 大きいフィルタサイズの平均化フィルタを画像に適用し、高周波成分と中周波成分を除去する。
a とb に含まれる空間周波数成分は次のようになり、2 枚の画像の差をとると中周波成分のみを抽出することができる。

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