カメラ、レンズ、そして照明。これらが「画像処理検査」を行う上で、装置本体と同様欠かせない3アイテム。中でも画像処理検査において照明は、照射方法、照射方向、色の組み合わせによって画像のコントラストに大きな影響を与え、その良し悪しによって、画像処理の認識精度が決まるといっても過言ではないほど。光は電磁波の一種で、進行方向(照射方向)、周波数(色)、振幅方向(偏光方向)、位相の4つのパラメータで表現されます。つまり、画像処理検査において照明(=光)を考えるとはこの4つをどうするか考えることに他なりません。 現実的にはLEDで位相をコントロールできませんので、残りの3つを考えることになりますが、本コラムでは照射方向と色についてスポットを当てました。
なお、画像処理検査においてLEDのメリットとは(ハロゲン光源と比べて)、
① いろいろな形状の照明をコンパクトに製作可能
② 色の三原色RGBとIR、UVを手軽に選択できる
③ ON/OFFの応答性が良い
です。以下詳細を解説いたしました。
画像処理をする上で、最も基本的な照明の当て方です。ワークの背面から照射して、ワークの透過光、影を撮像する照明方式。ワークの外形を安定して検出したい場合などに使われます。
対象物の斜め上方から光を照射し、表面からの反射をカメラで撮像する最も単純な照明の当て方です。平面部分は黒く、凹凸部分は白く見えます。
対象物に照射する光軸と画像を撮像するカメラの光軸をハーフミラーにより一致させる照明の当て方です。正反射光が返ってくるので鏡面状の対象物でも最適な画像がつくれます。レンズの後に配置する方法(現在の主流)を特に、擬似同軸落射といいます。
フロント照明(カメラ側からの照明)としては、ごく一般的な照明。拡大鏡などのヒトによる目視では、ほぼこれだけで事足りることが多いほど。画像処理用途でもリング照明だけで済んでしまうことも多いものの、四角い画面や四角い対象に対しては、均一な照明条件にならないケースもあり、この変形版として、四角形状やバー照明を4方向に配置することもあります。画像処理検査の内容により、他の種類の照明と組み合わせて使うことも多くあります。
この形状で重要となるのが、照射角度。例えば、低い角度で照射するローアングルタイプではキズを判別しやすくすることができます。LEDを使えば照射角度も自由に製作ができるのです。
LEDを直線に配置した形状で、列の数は様々です。直線的な形状が多い工業製品の画像処理検査では重宝する照明です。4方向にバー照明を配置した形状のものもあります。
四角形の筐体にLEDを辺状に配置した形状です。直接光ではなく間接光となります。
LEDを平面上に配置した形状。バックライト(透過照明)として使われることが多い形状です。
形状分類というより、この同軸落射という照射方法を実現する為に作られた形状。LEDは横に配置され、ハーフミラーによってカメラとの光軸を合わせます。
単色の照明を当てると、ヒトの目では想像もつかない見え方をする時があります。金を明るく光らせたいときは赤色、逆に光らせたくないときは青色。細かな擦り傷を映したいときは短波長の青色、逆に映したくないときは赤色やIR(赤外線)。
色収差の大きいレンズでは、単色のLED照明を用いることにより、シャープなエッジの画像を得られることがあります。
対象は光の当て方や色によって、まったく異なる映り方をします。例えば、傷はローアングルで青照明で見えやすく、汚れはドーム照明のほうが見えやすいので、全く相反する照明ということが発生するのです。このような場合は、照明を切り替えて検査しますが、この場合もLED照明のON/OFFの応答性は威力を発揮するのです。
検査ステージの数を減らし省スペースを考える場合、各カメラの露光タイミングに合わせて瞬時にON/OFFすれば、各カメラ用の照明が干渉せずに撮像することができます。
>ヴィスコの外観検査 "丸わかり" 特設ページはこちら本記事では画像処理で使用する照明を選定する際のポイントや各照射方法の特徴等について解説いたしました。
照射パターンを変えるだけで、取り込む画像のコントラストに大きな影響を与えることから、画像処理の成功の鍵は、照明技術にあるといわれています。
初期の照明選定時に入念な絞り込み(検査対象物に合った照射方法、波長、形状)が必要です。
ヴィスコでは、経験豊富な技術者が対象物の検査条件に合った照明を選定。実機でテストした「検査評価レポート」を作成します。ご希望の方はお気軽にこちらからお問い合わせください。
なお、点灯・消灯・調光をリアルタイムに制御することが可能なヴィスコの照明機器「照明コントローラ」の特長は下記ページよりご確認ください。
>照明コントローラページはこちらカメラ・レンズ・照明それぞの種類や特徴、検査にあった選定方法など、画像処理検査をこれから初めてみようという方や、現状の検査を見直してみたいという方にオススメです。
私たちは、外観検査・画像処理検査に関するエキスパート集団です。単なるメーカーではなく、画像処理アルゴリズム、光学技術、電気・機械の知識と経験を兼ね備える外観検査・画像処理検査装置メーカーとして、総合的なコンサルティングも可能とする、開発型エンジニアリング企業です。